アメリカ南西部、ユタ、アリゾナ、ニューメキシコ、コロラドの四つの州がひとつに交差しているフォー・コーナーズ。荒涼たる砂漠と、グランド・キャニオンなどの巨大な渓谷に囲まれたここは、ホピやナバホ・インディアンたちによって、聖地として守られてきた土地であった。もしここが破壊されたら、それはナバホやホピのみならず、全地球的な規模の自然の変動が起きてしまうと、彼らによって信じられてきた。
とりわけホピは、ここを偉大なる精霊(グレートスピリッツ)から与えられた土地であり、また地球上のすべての生命のための聖地であるとして、2000年以上前から、この大地の番人としてここを管理してきたのだ。そして偉大なる精霊から与えられたという予言の石板を守りつづけてきたのである。
石板は、宇宙の計画(ユニバーサル・プラン)としてホピに与えられたものであり、彼らの言葉で第三の世界と呼ばれるこの世界の始まりから、浄化の日を経て、第四の世界と呼ばれる新しい世界が始まっていくまでのことが、印されたものであるという。そして、彼らは、常にホピ一族自身に起こる変化と、この地球の上に起こる出来事の変化を、その石板と照らし合わせながら見つめつづけてきました。
その予言の中に
“空から「灰の詰まったひょうたん」が落ちてきて、海が煮えたぎり陸が燃え、 数え切れない人々が死んだなら、これまで秘密にしていたホピの教え、
予言、伝承を広く公表しなくてはならない。”というのがあり、 これがヒロシマナガサキに落とされた原子爆弾の事を表しているとしています。
また、フォー・コーナーズ地域は現在、膨大な量の石炭、石油、そして地球最大のウラニウムのベルト地帯といわれ、とくにアメリカのウラン資源のほとんどがその大地の下にあり、世界のウラニウム・キャピタル、グランツやアメリカの原子力司令部ともいわれるロスアラモスを配した、いわばアメリカ合衆国の核開発の心臓部に変貌してしまっています。
核兵器であれ、原子力発電であれ、核開発の原点は、ウラン鉱石の採掘から始まり、その原点の採掘からすでに被爆者が生み出されている。
そして聖地はそのための巨大な核廃棄物の処理場に変わり果ててしまい、国家的犠牲地区という名称で、ホピやナバホを被爆させながら、多国籍企業によって開発が押し進められてきた。日本の原子力発電の燃料のウランの何パーセントかは、この聖地から採られたものが使われています。
つまり私たちは、全ての生命の根源とされるホピの聖地を破壊し、平和利用という名でそれらを消費しているのである。
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